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» 2014年6月24日 更新

ちびクロの細かすぎて伝わらないネットサービスの話 年商240億営業利益率70%を稼ぐ不動産ポータルRightmoveが成功している広告費削減方法

Rightmoveというイギリスの不動産サイトがあります。

Rightmoveトップページキャプチャ.jpg

ビジネスモデルは毎月不動産会社から掲載費を頂戴する広告モデルですが、2013年度の実績は年商で売上が約240億、営業利益170億と70%近い高い営業利益率が目立ちます。

日本ではHOME'Sなどが近いビジネスモデルですがHOME'Sの営業利益率は20%前後です。

公式サイトを見ると広告主である不動産会社向けに対しRightmoveに参画するメリットが訴求されているので抜粋をします。

・家探しをする95%のユーザがRightmoveを既に見聞きしている認知力
・毎週150万通のメールを登録ユーザに送付できる会員リストの集客力
・モバイルアプリの使いやすさ(アプリがイギリス内で表彰されているようです)
・継続的に出稿していいるTV広告の露出力
・Search Engine Optimization
・数万を超えるソーシャルメディア上のファン

と書かれておりSEOがその一つであると明記されます。

アニュアルレポートにも記載されていますし、採用ページを見てもSEOに対する熱量の高さが伺えます。

実際にキーワードのランキングを競合サイトzooplaと比較すると非常に高いパフォーマンスです。

rightmoveのランキングパフォーマンス.jpg

SEOは広告ではなく、検索経由の良質な見込み顧客を安価に集客できるコストパフォーマンスの高いマーケティング施策です。

この記事を見るとRightmoveはイギリス内のシェアが圧倒的になっていることで利益率が高くなっているようですが70%近くの高い営業利益率をもたらしている要因の一つがSEOだと考えています。

今回の記事の目的はRightmoveのSEOを解説することでグルメ、人材、不動産、車、旅行などの大量の情報を扱うインターネットサービスのマーケティング担当の方を対象に日本の大規模サイトにも転用ができる考え方を理解してもらうことです。

参考になるポイントは

・サイトマップ設計方法
・一覧ページの正規化方法
・テキスト情報が無いコンテンツのSEO

と3つあるかなと考えてます。

それでは参りましょう!


■日本の不動産サイトと異なるサイトマップ設計思想

前提としてTOPページはサイト全体の中でも自然に多くのリンクが集まりやすいページです。

そのためTOPページから浅い階層にどのコンテンツを設置させるか、そしてそのコンテンツからどのコンテンツにリンクを渡すかが重要なポイントになります。

日本の代表的な大規模サイトはトップページに地図、ボディ下部やフッターに営業上重要な地域に対してリンクを用意することが多いです。

地図のインターフェースが多い.jpg

RightmoveはTOPに地図を置かず、サイトマップへのリンクを用意することで営業上重要な地域を強化しています。

rightmoveのTOPはマウスオンでリンクが出現するUI.jpg

サイトマップを見ると検索数が多いキーワードが優先的に掲載されています。

rigtmoveサイトマップのワードは検索数がある.jpg

不動産は地域によって物件の数に偏りがありますし、ユーザの不動産探しのニーズは地域によって異なります。地図はどの地域もまんべんなくリンクを渡すことになりますが、この施策であればユーザニーズが高い地域を優先的に強化できます。

階層比較rightmove.jpg

検索数が無い地域は各検索結果の左カラムにリンクを用意しています。

rightmoveの検索結果の左カラム.jpg

これは病院なびというサイトのリンク構造に近いです。

病院なびの検索結果.jpg

病院なびの掲載方法の優れている点は

・紹介できる案件数が記載されているため、ユーザの期待値を調整できる
・案件が無いものは生成されないため低品質コンテンツの生成を防げる

とSEOとユーザビリティの両側面を担保している施策になっていることです。

話が逸れましたが、Rightmoveの優先地域を予め特定し優先的に施策をするという営業的発想が非常に参考になります。


■日本のサイトと大きく異なる一覧ページ正規化方法

Rightmoveは検索結果のページ処理が日本のサイトと異なります。

前提として大規模なサービスの検索結果ページはコンテンツは同じでURLが別々に発生することが起こりがちなので、評価を集めたいページを予め設定し検索エンジンには評価ページを見てもらうことが重要になります。

例えば服を販売するECサイトで

huku.com/tshirt/

というTシャツの検索結果ページがあったとします。

安い順、オススメ順で並び替えた際に、それぞれこのようなURLになったとします。

huku.com/tshirt~lowestprice

huku.com/tshirt~recommend

ここで表示されている商品情報は別々になるとは限らず、たまたま同じになってしまうこともあります。そのため上記2つのページを検索エンジンクローラーが読み込む際はhuku.com/tshirt/に評価を統一させる必要が出てきます。

Rightmoveはページ送り先のコンテンツをインデックスさせず、クローラは回遊させる
<meta name="robots" content="noindex,follow" />
というタグを記載しています。

さらに2ページ目以降のコンテンツをクローラが見た際に1ページ目に評価を統一させています。

ページ送り先のソースを見ると1ページ目に対してcanonicalタグが記載されてます。

rightmoveは送り先ページにnoidexfollowcanonicalを指定.jpg

通常考えられるcanonicalタグを入れる状況は

・おすすめ順などの条件で並び替え
・複数の条件で絞り込み
・送り先ページを送り先ページ自身に対してcanonical(例 2ページ目から2ページ目にcanonical)

などが該当します。

canonicalを記載するケースは検索結果が同じ状況になる可能性が高いコンテンツですが、ページ送り先の情報は異なるのが普通なのでこの方法は少しトリッキーだと感じます。

検索結果正規化方法.jpg

ただ2ページ目以降のコンテンツに対して検索経由でユーザに訪問してもらっても仕方が無いため1ページ目に評価を集めてしまうのは合理的です。

検索数が非常に細かいキーワードのSEOがかなり強いindeedも検索結果の1ページ目を対象にcanonicalタグを記載しています。


■テキスト情報が無いコンテンツに対するSEO

RightmoveにはHome Ideaというリビングや台所などのレイアウト事例コンテンツがあります。

テキストはあまり記載されておらず、写真がメインです。

home ideaキャプチャ.jpg

同じようなコンテンツをiemoという日本のスタートアップが展開しているので比較してみましょう。

コンテンツの構造は
・TOP
・詳細
という2階層で、1階層目にはベッドルームだけでなくリビングやキッチンなどのキーワードが並びます。

Rightmoveは詳細ページはインデックスさせずにクローラの侵入は許可していますが、iemoは全てのページをインデックスさせています。

また上述した検索結果と同様に2ページ目以降は全てcanonicalとnoindex followが記載されています。

Rightmoveのhomeideaコンテンツの正規化方法.jpg

Home ideaの各コンテンツTOPのランキングパフォーマンスはiemoと比べると高いです。

rightmoveiemoランキング比較.jpg

iemoは詳細ページがランクインしていますが、検索数が非常に細かいキーワードです。Rightmoveのほうが流入インパクトの期待値は高くなります。

注文住宅系のウェブサイトは部屋の種類やインテリアの事例をメインに写真を掛けあわせたキーワードに対応したコンテンツを持っていますが、不動産サイトはでやりきっているところは多くないためこういった発想は参考になります。

rightmoveiemoコンテンツ比較.jpg


■まとめ

Rightmoveを初めて見た時はサイトマップなどを見てもピンと来ませんでしたが、検索数を調べるとボリュームが多いワードが浅い階層に設置されており、注力地域に対して優先的に強化をしたいのだなと想定できました。

日本の不動産サイトでよく見る地図のインターフェースはユーザビリティ上は確かに使いやすいですが、SEO観点で見ると営業上重要な地域を強化できてるとは言いがたいです。

そのために下部やフッターにリンクを設置するのが普通だと考えていましたが、Rightmoveは異なる方法でそれを解決しようとしてます。

RightmoveのSEOは細かい施策は色々と発見できますが、検索ニーズが高いワードを優先的に強化するという営業志向の高い施策だという印象を受けましたし、その発想こそが一番参考になると感じています。

見ていて色々面白いサービスだったので、Rightmove研究はまたどこかでやるかもしれません。

それではまたこの場所でお会いしましょう!

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プロフィール

黒須敏行

黒須敏行

早稲田大学在籍時に株式会社アルコにアルバイトとして参加し入社。現在はコンサルタントとしてベネッセやラクスルなどが運営する大規模サイトを中心にウェブマーケティング改善のプランニング及びコンサルティング活動を行なっている。

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