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» 2013年3月12日 更新

ハイ・コミュニケーション私論 デジタルネイティブ社会のPCキーボード「騒音」というイノセンスな問題

デジタルネイティブ時代(社会)である。
会議はもとより各種のセミナー、カンファレンスなどでも、PCで直接ノート(メモ)を取るのが当たり前になりつつある。
そこで、キーボードによる騒音という新たな問題が顕在化してきた。
これを感じたのは、ある2つの出来事だ。
たまたまTVのニュース番組を見ていた。外からの中継で記者がマイクを手にして話をしている時、そのあいだ中すぐそばでカチャカチャとキーボード音がずっと鳴っていた
きっと、他局の記者が隣で取材原稿を書いていたのだろうが、そのキーボード音が気になって仕方がなかった。
もう一つは、あるセミナーに参加したときに同じ経験をした。講師が話を始めると、一斉に周辺の何人かがキーボードを打ち出した
紙のノートに手書きメモをとるよりも日頃から会議などでもPCでノートを取る人たちだろう。さらには、あとで個人でブログ化する、あるいはどこかのメディアで記事にするライターもいたのだろうことも理解できる。
しかし、一度に何十人もが一斉にキーボードを打ち出すと、あちこちでカチャカチャ音が鳴り響きそれはもう一種の騒音だろうと感じた。
こうしたPCでメモをとる人たちは、書くこと=キーボードを打つということが当たり前なので、そうした騒音の要因に自分が荷担していて、周りの人たちに迷惑をかけているのかもしれないということについては、もちろん無自覚(イノセンス)だろうと思う。
こうした問題について、ソーシャルメディア特にfacebookでリクエストを申請を受けるときに多く経験するイノセンスな問題について「「イノセント・スパマー」についてーーFacebookの友達リクエストの雑感」というブログを書いたたことがある。
こうしたことは、他にも多々ある。例えば、最近ではスマートフォンを操作しながら道を歩く、駅の階段を上り下りする、はては自転車に乗っているなど。当の本人は、無自覚だったり夢中で気づいてはいないのだろうが、こうした「ながらスマホ」は、他の人たちにしてみれば実に迷惑なことだ。
もちろん、マナーがなっていないとか知らないとかと言ってしまえばそれまでのことなのだが。
これと似たような大きな社会的な問題だったのがタバコだろう。
混んだ場所で平気で歩きたばこ、駅でのちょっとした待ち時間に吸って線路に投げ捨てる、周りの状況(食事中、そばに赤ちゃんがいる等)など関係なくところ構わずにたばこを吸うなど、喫煙してきた人には当たり前のような行為だっただろう。
しかし、それは周辺の(吸わない)人たちへの自覚的な配慮を欠いてきたことが原因だろう。
嫌煙権とは、そうしたイノセンスがもたらした結果で、自覚がなかったために自分たちで自らの首を絞めことになったのだ。
さて本題。
私は今でも手書きでメモを取ることにしている。私以外にも、テクノロジーの達人と思われる人たちの中には、PCではなく今でもペンとノートでメモを取る人たちを私は何人も知っている
■メモを取るときに心がけている2つのこと
1つは、初めて知った事、話のキーとなる言葉や話の内容、またデータが紹介されて参考になるようなものがあれば、そのデータの出典元などの情報についてもメモを取るようにしている。
2つめは、話の内容を議事録的にメモするというよりは、聞いていて私が感じたこと、気づいたこと、疑問に残ったことなどをメモするようにしている。
もちろん、後者の方が重要である。
それというのも、メディア関係者などが参加している場合、その内容についてはあとで記事化されてネットで読めるようになることがほとんどだ。話題の登壇者、あるいはタイムリーなテーマにのときなどは特にそうだ。
そうした報道記事は、比較的客観的に書こうとするために、どういう話の内容だったかあるいは発言がされたかなどが記事化されていることが多い。重要または注目すべき内容や発言があれば、それらについてもきちんとテキスト化されることになる。
最近ではU-NOTEのようにサービスもある。
これは行けなかったセミナー(イベント)などのまとめノートを無料で閲覧・作成できるとてもありがたいサービスで、特に有意義なイベントの場合は誰かしらがそうした内容について詳細なノートを作成し、ソーシャルメディア上で共有できるほどである。
公共のPC専用エリアがない図書館や専用エリア以外のスペースでは、電源の問題を含めPC利用(キーボード)禁止しているところが増えているとの話を聞いたことがある。
今後、キーボードでノートを取る(メモする)人の増加にともない、このキーボード騒音も顕在的な社会問題化することもあるだろう。登壇者によっては、そのカチャカチャした音が多いことが気になって、話に集中できないという人がいても不思議ではない。
大人数の参加者の場合、登壇者が話し中(講演中)のときは、キーボードは使用禁止などという事態がありうるかもしれない。
こうしたPCキーボードの打鍵音を軽減してくれるカバーという、ニッチなマーケット需要を狙った商材も数多く出回っている。
あるいは、技術が進むとそうした打鍵音を大きく軽減または消去してくれる機能搭載のマシンが開発されるかもしれない。
しかし、それも過渡的なものだろうと思う。
なぜならば、数年後にはこうしたノートPCで打つ人は減り、Pad端末(タブレットと呼ぶ人もいる)での入力が当たり前になる。そもそもノートPCといえども、所有している人すら珍しい存在となるだろう。
そうすれ、カチャカチャというキーボード音とは無縁な状況が訪れるだろうことは想像に難くないからだ。
もっとも、サードパーティなどから各種Pad用のキーボードが製品化されているし、どうしてもすぐにはキーボードの打鍵音から離れられないようで、すぐにはなくならないようにも感じてしまうのだが。
<関連リンク>
▼『デジタルネイティブの時代』
▼U-NOTE
【おすすめブログ】
▼「イノセント・スパマー」についてーーFacebookの友達リクエストの雑感
▼PCがなくなる日ーーコンシューマー向けPCはなくなる

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プロフィール

梅下武彦

梅下武彦

コミュニケーションアーキテクト兼ブロガー。20世紀は広告代理店の“傭兵マーケッター”、21世紀はベンチャー企業のマーケティング責任者を歴任。現在、マーケティングコミュニケーション領域の戦略立案や設計、アドバイザー・メンターとして活動している。また、様々なソーシャルメディアで活動するSocialmediactivisとして、現在をDigital Ambient Society、Communication Metamorphosesと定義し、多様に激変する社会現象・事象、時代情況を独自のマーケティング視点で語るコラムを執筆中。 ソーシャルテクノロジー社会におけるMarketing DisruptionとCommunication Ecosystemの関係を探求している。

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