ニュース
» 2013年2月23日 更新

たかはしまさかずの思わず膝を打つかもしれないブログ 価格勝負から抜けられない家電量販店

先日アマゾンの日本国内での売上が判明し、驚愕した人も多いのではないだろうか。楽天より売れているだろうと予想はしていたが、ここまで差が開いていたのは驚きであった。(楽天市場取扱高:1兆4000億円、楽天自体の売上:4430億円)


彼方を立てれば此方が立たずが世の常、煽りを受けて苦戦しているのが書店や家電量販店だ。私は前職で量販チャネルを担当していたこともあり家電量販店には特別な思い入れがあるのだが、相変わらず「他店より高い商品がありましたら、ご遠慮なく販売員にお申し付けください」的な売り方をしているのをみて、これは本当にヤバいと思った。


これまでの家電量販店の成長を支えてきたのは間違いなくこの価格戦略であるけれど、店舗や販売スタッフなどのコストがかからないネットショップに価格で勝てるわけがない。これからの家電量販店に必要なことは売り方の工夫だ。例えば、ジャパネットたかたの「*バンドル商法」や*でんかのヤマグチの便利屋的サービスのような高くてもお客様に喜ばれる売り方を追求するべきではないだろうか。

*ジャパネットのバンドル商法
例えばパソコンにプリンタやデジカメなどをセットにして販売する方法。個別に価格を調べると安くはないのだが、購入者の満足は高い。「デジカメで写真を撮ってPCで編集して自宅でお孫さんの写真をプリント!」のように購入後のイメージをうまく提案している。

*でんかのヤマグチ
価格は他店よりかなり高いが、購入後のサービスが圧倒的にスゴイ。例えば庭の草むしりを手伝うとか便利屋的なサービスを提供している。

今後家電量販店が生き残るために必要な戦略は、私が薫陶する永江一石氏のこちらの記事を参考に。


上述のように私の意見は家電量販店は価格勝負ではなくサービス志向になるべきというものだが、残念ながらしばらく変わらないと思っている。なぜかといえば量販業界の慣習があるから。例えばリベート制度。新製品の導入に対する「導入リベート」や販売に応じて支払われる「達成リベート」があり、販売店の利益を支えている。その他家電量販店が最安値を提示できる理由は下記のようなことがある。

■ 家電量販店が最安値を提示できる理由

・ネットショップより有利な条件で仕入れているから
やはり購買力があるので有利な条件で仕入れができる。

・値引きを要求するのは一部の客だから
値引きを要求するのは一部の客だから。すべての客が値引き要求したらさすがに耐えられないだろう。

・メーカーに補填させるから
値引きした分はメーカーに補填させるので販売店の利益には影響ない。バイヤーからは「A店の販売価格を何とかせい!」なんてのは日常茶飯事。そのためメーカーは販売価格を維持するためにアローワンス制度(販売価格維持などに協力してくれたら報奨金を払う)を導入する場合もある。

(まとめ)
どこで買っても同じなら少しでも安いところで買いたいというのは当たり前だが、でんかのヤマグチのような「当店で買えばココが違う!」というものがあればそちらを選ぶ人も多いのではないだろうか。顧客囲い込みの常套手段であるポイント制度も家電量販店から始まったという。今直面しているショールーミング化という課題を解決するような方法も家電量販店から生まれることを期待している。

(参考)
小売業に何が足りないのか ←コメントが参考になります


(蛇足)
私がマーケティングに興味を持ち勉強したのは量販ビジネス担当の時、「機能で差別化できない商品をどのようにすれば売れるのか」というコモディティ化の問題に直面したからです。当時は他メーカーとの競争を考えていればよかったですが、今はリアル店舗そのものの存在が脅かされるショールーミング化という大きな課題に直面しています。現時点ではリーサルウェポン的なアイデアはないですが、このあたりの問題を何とかしたいと思っています。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

プロフィール

たかはしまさかず

たかはしまさかず

スタートアップファウンダー失敗多数。日本の閉塞感打破にはベンチャーが必要だと信じるベンチャー国富論者。自社の事業を成長させる事と子供がプロ野球選手か起業家になりたいと言うような社会をつくることがライフワーク。

「マーケター通信」購読一覧