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» 2012年12月13日 更新

街中がクリスマス・イルミネーションで賑やかになってきた12月。Yahoo Japanのクリスマス特集 による、東京のイルミネーション・ランキング ベスト3は以下の通りとなっています。うーん。どこも華やかですね。

 第1位 ミッドタウン・クリスマス2012 (ミッドタウン)
 第2位 Caretta illumination2012「リュミエの森」 (カレッタ汐留)
 第3位 よみうりランド ジュエルミネーション (よみうりランド)

このシーズンは海外でも日本以上に盛り上がっています。世界的に有名なクリスマス・イルミネーションの有名スポットといえば、ニューヨークにある老舗デパート Macy's が挙げられるでしょう。クリスマス映画の傑作として名高い 『三十四丁目の奇蹟』(1947年)の舞台にもなっていて、アメリカ人にとってはクリスマス・スポットの代名詞的存在になっているデパートです。皆が大好きなクリスマスの代名詞になっちゃうなんて、ブランディング的にも認知度的にも羨ましい限りです。

でもこの超有名デパートのすごい所は、老舗の座に甘んじることなく積極的にデータ分析に取り組み、最近ではネット販売上での顧客理解など新たな施策を次々と繰り出しているところにあります。

まずMacy'sグループは顧客分析を行い「本当の優良顧客は誰なのか?」を探しはじめるところから始めました。その結果、過去に1度だけソファーやダイヤモンドのブレスレッドといった高額商品を買ってくれた顧客よりも、頻繁に贈り物や衣料品を購入してくれる得意客こそがさらなる利益をもたらしてくれる、ということを突き止めたのです。さらに分析を進めて行った結果、「流行の商品やお買い得品を探すなら、まずはMacy's!」と考えているファッションに興味をもつ25歳以上の働く女性のグループがMacy'sの今後の成長のカギを握っている顧客層であることが明らかになりました。


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 mini_oshima.gifのサムネイル画像 これって単純に購入額や購入日だけを見ていても分からないなぁ。
   購入頻度はもちろん、顧客の性別、年齢、趣旨嗜好そしてライフスタイルまで理解して
   初めて見えてくることですよね。うーん。セクスィー!

次に彼らは「どの顧客がダイレクトメールに反応するか」を予測できる仕組みを作り上げました。老舗デパートだけあって顧客数もハンパじゃありません。Macy'sグループ全体で、数百万人の顧客を対象に年に数百回ものキャンペーンを実施しているんです!この規模になってくると、わずか数パーセントの反応率の伸びは収益に大きなインパクトを持ってきます。反対にターゲティングを研ぎ澄まし送る必要がない顧客を除外できれば、大きなコストカットが期待できます。事実、彼らは最優良顧客だけを選別してダイレクトメールに反応する確率が高い顧客が誰かを分析してキャンペーンを行うようになった結果、マーケティング効果は数百万ドル単位、つまり数億円単位で改善 したのです!

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節約できたこの数億円は、例えばテレビや雑誌といった他の広告活動に流用できるわけです。もちろん彼らは真の優良顧客、そして大切にすべき顧客を把握できているので、「ファッションに興味をもつ25歳以上の働く女性」が見るであろう媒体に絞って広告を出すことができるわけです。   
  mini_oshima.gifのサムネイル画像 す、数億円単位って、セクスィーすぎるコストカットです。
    さらにそれを、ターゲットを絞った別の広告活動で使える訳ですから、
    ROIが向上するのも納得です!
    データ分析って、こんな威力を持っているんだなぁ。

 

彼らの取り組みはネット通販にも広がっています。しかも単に「ネット通販はじめました」的なノリで終わらないところが彼らのセクスィーなところです。Macy'sは米国の小売業界で初めて「オムニチャネル化」宣言をしたのです。・・・・・って、オムニチャネル化ってなんなんでしょうか?最高経営責任者のテリー・ランドグレン氏のコメントから探ってみましょう。

テクノロジーを使用してネットでの買物経験を鏡のように店頭にそのまま反映させる。
最終的なゴールは、顧客とのつながりを深めていき顧客がいつでもどんなやり方でも
Macy'sにアクセスできるようにすることである。
                   最高経営責任者 テリー・ランドグレン氏

オムニ(OMNI)とは、「全ての」「総合的な」という意味です。つまりオムニチャネルというと「総合的なチャネル」 となります。あれ?じゃあ店舗やOnline、カタログ通販など様々な顧客との接点を 提供してきた「マルチチャネル」や「クロスチャネル」とはどう違うんでしょう?
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決定的な違いは、チャネル横断での顧客管理を実現しチャネルに捉われない顧客接点管理が出来ているかという点です。店舗やOnline販売、カタログ通販、さらにはモバイルなど多様な顧客接点を提供できていても、店舗にやって来た顧客がOnlineでどんな商品を買っているかが分からなければ、見当違いな商品を提案しかねません。反対に、店舗で試着してみて欲しいなぁと思っていた商品のダイレクトメールやEmailが届いたら思わず買ってしまうかもしれません。そう。顧客がいつでも、実店舗でもネット上でもチャネルを気にせずに、Macy's に行けば同じ感覚でお買い物を楽しめる状態こそが オムニチャネルなのです。

さらに最近では「店舗で見てネットで買う」という購買行動が増えて来ていることも「オムニチャネル」が注目を浴びる一因になっています。実物を見て、触って、確認したいけれど、実際に購入する時にはネット上で最安値を探して買う、という買い方は皆さんもご経験があるかと思います。こうした顧客の購買行動の変化を重視した店舗系小売業の中にはネット通販を開始し、ネットと店舗の体験を融合させて片方だけでは得られない「顧客理解」に基づいた連携の取れた「顧客対応」を武器にしようとしているのです。

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そのためMacy'sでは商品や顧客に関するすべてのデータベースを一つに統合し、店頭とネット上の価格や販促企画を同一にしました。在庫データも一元化しているので、店頭で欠品していてもネット上にあればその場で発注が可能ですし在庫を持っている他店舗を紹介することも可能です。販促企画も同一のものですから、顧客が実店舗にきてもOnlineストアに来ても同じ対応が可能です。

さらにMacy'sの通販部門であるMacy's.com (メイシーズ・ドットコム)では複数チャネルを統合した20~30テラバイトにも上る2年分の巨大データをSASの分析ソフトウェアを使ってデータ分析し、だれが、どの商品を、どのチャネルで購入しているかを把握できるようにしています。彼らはオープンソースのデータ管理プラットフォーム「Hadoop Cluster」をSASと連携させて活用することで、この巨大データの処理を実現しているのです。2012年末、つまり今月末までにはコールセンターまでをも連携させた顧客情報の統合管理のしくみを目指しており、まさに「オムニチャネル化」を進めているのです。

Macy's.com のマーケティング・アナリティクス担当副社長(こんな役職、とってもセクスィー!)は次のように述べています。

Macy'sは顧客との接点が非常に多い。
顧客に必要なサービスと商品を、必要なときに提供するため、
サービスを改善しなければならない。
それが当社の成功を左右するのだ。
そのため、複数あるデータ処理システムを統一する必要があった。 

 mini_oshima.gifのサムネイル画像 これ、顧客へのアプローチ方法が大きく変わって来てるってことですよね!
   実店舗とネットの境界線がどんどん取り払われていってるんだなぁ。
   こうなってくると、「どこの店が自分を本当に理解し、最適な提案をしてくれるか」が
   勝負になってくるのが納得できます。

   全チャネルをシームレスに連携させて、どのチャネルでも常に一つのMacy's であり続ける。
   顧客を理解することに本気で取り組み、顧客対応業務に活かそうとする
   その姿勢こそが老舗が老舗たる所以なのかもしれません。

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   チャネル横断の顧客理解を推進する「オムニチャネル」での顧客分析の重要性を理解した私。
   セクスィー・ポイントを 5ポイントと、テレビのリモコン3つをGetしました!

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【参考文献】
 ・Chain Store Age  2012年5月15日号/12月1日号
 ・SAS 顧客事例 :Federated Department Stores


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プロフィール

大島 玲子

大島 玲子

SAS Institute Japan株式会社 でBtoBマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。

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