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» 2013年2月28日 更新

目指せ! セクスィー・データサイエンス・マーケター 待機パイロットの最適化でスタンバイOK!

先日、北日本や北陸を襲った今季最強クラスの寒波は青森で5.5mを超える豪雪となり、雪下
ろし作業中の事故や交通網の乱れなどを引き起こしました。

今回はこうした突然の天候不順や予定外の事態に迅速に対応し、分析に基づいた最適な人員
配置計画
で、数百万ドルつまり、数億円単位の経費削減 に成功した航空会社の事例
をご紹介します。


航空業界では常に予備のパイロットや客室乗務員が空港や自宅などで待機し、突然の病気や
災害、アクシデントによる欠員に備えています。
「スタンバイ」と呼ばれるこの待機業務にも当然ながら人件費が発生するため、航空会社として
は最小限の待機要員・待機時間に抑えたいところですが、万が一、パイロットが不足する事態
に陥れば欠航による多額の費用損失と顧客からの信頼喪失につながります。

そのため各航空会社は、「その日搭乗するパイロットと客室乗務員の合計数の何%」という単
純で、かなり余剰を上乗せした計算式ではじき出した数字に従い、待機要員をスタンバイさせ
ておく必要があったのです。
多くの場合、こうした待機要員とそれにかかるコストは無駄になってしまいましたが、安定運行
には欠かせない「経費」として航空業界では受け止められてきました。
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 mini_oshima.gif  確かに、「パイロットが病気なのでこの飛行機は飛びません」って
   ことじゃ、 困っちゃいますもんね。
   でも、待機している人にも人件費が発生するってことになると、
   待機人員を必要最小限に抑えたいって気持ちも分かるなぁ。
   結局それって、私達のチケット代にも反映される事になるんですもんね。
  

アメリカ・ウエスト航空(America West Airlines、合併し現在は US Airways)は、この難問の
解決に、アナリティクスを使って乗り出したのです。

America West で人員計画&分析担当のシニア・アナリストを務めるKat Weaver 氏は欠航・
遅延や過剰な人員を待機させて余計な人件費を支払うことを回避するため、必要な待機要員
の数を予測する革新的な方法を開発することにしたのです。
彼が目指したのは 「欠航させることなく正常な運行を確保できる待機要員の最少人数を時間
単位でスケジュールできるようにすること」でした。

しかし実際には、急な吹雪のためオハイオ州で機体と乗務員が足留めされたり、アリゾナ州で
インフルエンザが流行し数十人のパイロットが一気に病欠を取る、といったようなイレギュラーな
事態は全米各地で起こります。
これらをどう予測し、最適なスケジュールを組めばいいのでしょうか?
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 mini_oshima.gif  インフルエンザの流行や天気を航空会社が予測するってこと?
   吹雪がいつやって来るかなんてことは、天気予報にお任せして、
   ここは手堅く、余裕をもった人員配置をしておいた方が良いんじゃない?



Weaver 氏は、欠航便の履歴や天候パターン、乗員が参加するトレーニングのスケジュール、
休暇の残数や、過去の待機要員の水準、詳細な運行スケジュールなど、手に入れられるあら
ゆる情報を集めることから開始しました。
収集した膨大なデータを統合しデータを分析した結果、欠員発生の事態に陥る7つのパターン
を見つけ出すことができたのです。これにより、どんな状態の時に、どれだけの待機要員数が
必要になるのかを即座にシミュレーションし、予測することができるようになったのです。
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つまり、「吹雪がこのエリアで起こっている場合」「こんな病気が流行し始めた場合」といった
日々変化する状況や、スタッフの休暇残数、機材の調整など、複雑に絡み合っている様々な
制約を踏まえた上で、どの要員をどこに配置すれば欠航リスクを最小化しながらスタンバイ要
員を最低限に抑えつつ最も収益を上げられるか、ということを即座にシミュレーションし、日々
の人員配置スケジュール作成に落とし込んでいったのです。

従来、乗務員数の何%といった単純な計算式で待機要員数を決めていた時には必要以上の
人員を確保してしまうことが多く余分なコストが発生していましたが、データ分析に基づいて
必要な待機要員を極めて正確に予測できるようになってからは、月全体の予測数が 1 名以
上外れることは一度もなかったというから驚きです!
 mini_oshima.gif  そっか!
   予測するのは、天気やインフルエンザの発生タイミングじゃないんだ!
     
   過去のデータを分析して、欠員が出る「パターン」を見つけ出しておき、
   最新の天候や流行病の発生状況、休暇取得状況などの制約条件を掛け
   合わせることで、最適な人員数を予測することができちゃうんだ。
   う~ん。セクスィーすぎます。

   

この結果、America Westでは乗員不足が原因で欠航することは滅多になくなりました。また、
スケジュール確保に手間取ってフライトを遅延させてしまう、なんてこともすっかり無くなったそ
うです。
実際、航空業界で収益への影響度が高く重要な指標とされる定刻運航率もAmerica Westは、
業界で常にトップクラスでした。彼らはフライトを欠航・遅延させることなく待機要員を必要最小
限に抑え、コスト削減することに成功したのです。
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隠れた課題はなんだったのか?
2002 年に Weaver 氏がこのプロジェクトに着手した際、分析を行うためにデータを収集しよう
としました。
しかし実際にはさまざまな履歴データが不足しているだけでなく、保有しているデータを抽出
するための技術インフラが整っていないことが判明し、正確な予測を行うことは困難でした。
しかもデータ量は膨大です。Weaver氏のデータ分析のための第一歩は、様々なデータソース
からの膨大なデータを迅速に統合し、高度な分析を実行できる環境づくりだったのです。
日々、刻々と変わる状況や制約条件に関するあらゆるデータをタイムリーに収集、分析し、
常に人員計画に反映し続けるためには、大量データの収集・統合・加工のステップは必要不
可欠だったのです。

 mini_oshima.gif  なるほど。
   分析をするためにも、まずはデータ準備!なんだ。
   様々な情報を活用することで、過去の「パターン」をより作りこむことができ、
   将来予測の精度も上がって来るんですね。
   しかも、日々変わる状況を反映するには、スピーディーな処理は外せません。
    

複数のデータソースからデータを集め、分析に基づいて必要な人員数を予測し、最適な人員配
置計画を立てるといった手法は、航空業界はもちろん、コールセンターなどにも広がりを見せ始
めています。
アナリティクスを武器に、よりスキルを持った人員を効果的に配置するとともに、欠員を防ぐこと
で収益をあげる事に成功しているのです。

 mini_oshima.gif  将来予測と最適化のパワフルさに驚いた私。
   セクスィー・ポイントを 5ポイントと、アメリカ大陸横断ツアーの
   航空チケット3枚をGet しました★   
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プロフィール

大島 玲子

大島 玲子

SAS Institute Japan株式会社 でBtoBマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。

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