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» 2013年3月28日 更新

目指せ! セクスィー・データサイエンス・マーケター データを掌握した小売業マーケティングの躍進(後編)


前回は米国を中心に幅広いプライベートブランドの女性向け商品を扱っているChico's FAS社のバーブ・ブエッティンさんから、顧客分析に基づいた確信を元に適切な顧客コミュニケーションを実現するための5つの要素のうち2つを教えて貰いました。

 1. ロイヤリティ・プログラム、Webログを活用した幅広い顧客データの収集と一元管理
 2. 全チャネルを横断した顧客分析
 3. 分析・予測結果に基づいた多角的なデータ理解
 4. 顧客理解と連携のとれた適切なコミュニケーションとキャンペーン管理
 5. IT部門とのパートナーシップの構築

今回は、いよいよ、残りの3つについて詳しく聞いて行きたいと思います。
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mini_oshima.gif 前回は途中で息切れしちゃいましたが、バッチリ元気回復してきました!
  バーブさん、よろしくお願いします!

  まず3つ目の要素は「分析・予測結果に基づいた多角的なデータ理解」ですね。
  多角的ってどういう意味なんでしょうか。



3. 分析・予測結果に基づいた多角的なデータ理解


Chico'sでは個々の顧客ごとに自宅からの最寄店舗を把握していますが、それ以外にも最も買い物をしている店舗がどこなのかも把握し、不一致の場合はそこから顧客ごとの判断基準の理解に役立てています。彼らはこうした顧客の購入行動に関する要素を数多く収集し、多角的に顧客を理解することを目指しているのです。その要素はなんと、300種類以上
これらを組み合わせさまざまな角度からデータを分析することで、子供用品でもハイクラス商品を好んで購入しているのかお手頃価格の商品を好むのかなど、今どのような商品が購入されているのかが明確になってきたのです。分析の結果、顧客の支出傾向や購入種類に関しては住居エリアや購入店舗などロケーションが驚くほど大きな役割をはたしていることが判明しました。

さらに彼らはChico's ブランドと類似する競合ブランドの動向やデモグラフィック情報などの外部データを加えることで、顧客のウォレット・シェア、つまり現時点での顧客の総支出に占めるChico'sの割合と、今後どれくらいまでChico'sを使ってもらえるか、さらに競合ブランドがどの程度占めているのかをある程度まで推測できるようになったのです。
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mini_oshima.gif えっっ!私が自由に使えるオカネの合計金額が推測されちゃう上に、
  競合ブランドをどれくらい購入しているかまで分かっちゃうんですかっ!
  ちょ、ちょっとコワイけど、分析を進めていく上ではとても重要な情報ですね。
  これを掴んでいるかどうかで、戦略は全く変わってきますものね。

またこうした分析結果を新規顧客に照らし合わせることにより、最も高い可能性を秘めている顧客は誰なのかを把握することができるようになりました。これによりChico's はそうした顧客を維持し、より高級ラインのブランドのお得意様になってもらえるよう、徹底したカスタマイズ戦略を実施することが可能になったのです。
mini_oshima.gif なるほど。300以上の顧客行動要素と外部データを活用し多角的に分析することで、
  社内データからだけでは見えてこない、顧客が自由に使える金額総量や自社ブランドが
  占める割合、競合ブランドの位置づけを把握することができるんですね。
  う~ん。セクスィー!

  ここまで来たら、顧客のニーズや好みは一目瞭然。キャンペーンは成功間違いなしですね。
  あれ?でも、まだ成功のために2つのステップがありましたね。
  えーと次は「適切なコミュニケーションの確立」。これ、一体、なんだろう?



4. 顧客理解と連携のとれた適切なコミュニケーションとキャンペーン管理


バーブさんは次のように述べています。

 人は情報が増えすぎると、情報を無視するようになります。

 私たちは細心の注意を払って、お客様との関係を大切に扱い、
 お客様にとって本当に有意義な情報のみをお伝えしていることを
 明確にご理解いただけるようにしなければなりません


つまりバーブさんは
SNSやインターネット上に情報が溢れかえっている今日、適切なメッセージを最適な顧客に、最適なタイミングと頻度で送り続ける事がかつてないほど重要になっていて、コミュニケーション・チャネルと顧客対応はより即時性、つまりタイムリーさが求められていると指摘しているのです。
従来のように購入金額別に「優良顧客」「準優良顧客」「新規顧客」「休眠顧客」といった大まかなグループに分け、
Chico's側の都合にあわせたメッセージやタイミング、チャネルなどで顧客とのコミュニケーションを設計していたのでは、顧客一人一人のニーズやタイミングに合わせる事はできません。
mini_oshima.gif ナルホド!
  いくら顧客分析によって顧客理解がすすんでも、
  コミュニケーションの設計や実行の段階でよりタイムリーに、
  より細かい顧客メッシュごとに実行できなきゃ、意味が無くなっちゃいますよね。

  でも複数のチャネルに多くの顧客グループを対象にして、さらにタイムリーさが
  求められるとなってくると・・・、Excelなどでの管理は難しくなってきますね。

Chico'sは顧客理解と連携が取れた顧客コミュニケーションの実現を重視しキャンペーン管理システムを導入しました。この結果、顧客分析からキャンペーン対象の定義、コミュニケーション・フロー設計、スケジューリング、レスポンスの収集と効果検証といった一連の業務が劇的に効率化しました。

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これによりマルチチャネルやマルチステップでの複雑なキャンペーンなども設計・実行が可能になりました。さらに
従来、計画の立案から対象者の抽出・実行まで30日程度かかっていた販促キャンペーンをわずか4日間で実行できるようになっただけでなく、素早くPDCAサイクルを回せるようになったことで効果が出ていない販促キャンペーンの改善策を実施中にいち早く打つことができるようになったのです。導入前はキャンペーン終了後、数か月たってからしか結果が分からなかった事と比較すると、大きな革新でした。

またChico'sでは顧客を常に中心に考え尊重するという目標を達成するため様々な改善を続けています。例えば顧客行動分析により、ある顧客がどの店舗に何を買いにくるかを予測できるまでになり、その予測に基づいた店舗の人員配置を行うようになりました。電子版のシフト管理表の大部分は予測エンジンによって決められているのです。
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5. IT部門とのパートナーシップの構築


最後はIT部門の緊密な関係です。バーブさんは、「IT部門とマーケティング部門の役割の一部が重なりあうようになったため」と述べています。バーブさん率いるCRMチームはITの視点からビジネスを語ることができ、データを自在に扱える環境を活用しています。IT部門からの高水準のサポートがあったことも見逃せません。
マーケティング部門自らがデータを握り、活用することができる環境をIT部門が全力でサポートしてくれているのです。
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mini_oshima.gif まさに、前回ご紹介したガートナー社の予測を先駆けて実現している!
  これからのセクスィー・マーケターは、マーケティング業務の理解はもちろん、
  「
ITの視点からビジネスを語ることができる」素質が求められているんだ。

  IT部門の力を最大限引き出すために、マーケティング部門も変わらなければ
  いけないんですね。
  


mini_oshima.gif マーケティングのさらなる進化のキーとなる「ITの視点」に気付いた私。
 
セクスィー・ポイントを 5ポイントと、春物のジャケットを無事、Getしました
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<参考資料>
・SASユーザー事例 Chico's

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プロフィール

大島 玲子

大島 玲子

SAS Institute Japan株式会社 でBtoBマーケティングのキャンペーン企画/管理を担当。愛犬と一緒に、サッカー観戦をするのがお気に入りの時間。

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